鏡について
窓や鏡は時間、空間と人間の内と外とをつなぐ装置である。
鏡の前で歯を磨いて、顔を洗って、髪を梳かす。
朝の支度で鏡を見る。自己と鏡と鏡像がある。
鏡像は物体が左右反対に映るとしばしば認識される。
しかし、自分、鏡、鏡像の縦の層で考えると前後反対に映っているようにも認識できる。
時間と空間があって自分が存在する、そして、鏡を挟んで、鏡像が存在して時間と空間がある。
外界から自己へ、そしてまた外界へとつながる。
鏡は自己の内面や外面を映すのみならず、おもしろい装置だ。
鏡を見ると、時間、空間、人間のそれぞれの「間」に気づく。鏡を挟んで、いま現在の時間と鏡に映った少し前の時間、自己のいる空間と鏡の中の空間、自己と自己の鏡像がある。
自分と他人から見える鏡のなかは条件や認識によって異なる。
それにより、さらに多くの時間、空間と人間の「間」が現れる。
モーリス・メルロ=ポンティ著『眼と精神』により、鏡の機能について以上を思考した。
自己の心身から、いま現在、存在している私を原点Oとして観測した。
鏡という物を見て、感じ取り、考え、表した。
2024.2.3 本とアートの対話
Coming Soon
miroir
この作品は、メルロ=ポンティの『眼と精神』の「鏡」に 関するの文章から発想したものである。作品タイトルは、彼の故郷であるフランス語の「鏡」による。
枠に向かって立つ行為から鑑賞者自身の姿を想起することもあるだろうし、穴のように捉えて周りの風景を見ることができると受け止めるかもしれない。 作品を通して、人間の存在を浮かび上がらせる。
miroir
This artwork was inspired by Merleau-Ponty's text on "The Mirror" in his book "The Eye and the Spirit". The title of the artwork is derived from the French word "mirror," which is his native language.
The act of standing facing the frame may remind the viewer of his or her own image, or it may be perceived as a hole through which the viewer can see the scenery around him or her. Through this artwork, I brings to light the existence of human beings.
街/ギャラリー檜 2023.6.12 - 17
街について
耳、鼻、口、目、皮膚。
どの感覚器官からの情報が最後まで記憶に残るだろうか。
マスクを外すと、空気を吸っていると改めて気がついた。
匂いが意識され、感覚器官の存在を強く感じた。
体の表面にある感覚器官は人間の身体から凸状で、表面積を増やして情報を集めている。
私たちは、感覚器官から街を記憶する。
街に立つ私たち自身も、街の感覚器官のようである。
街を構成する時間、空間、人間を表現した。
2023.6.10 街
The street / Gallery HINOKI June 12th-17th, 2023
About the street
Ears, nose, mouth, eyes, skin.
From which sensory organs will the information be remembered till the end?
When I took off the mask, I realized again that I was breathing air.
I was conscious of the smell and strongly felt the presence of the sensory organs.
Sensory organs on the surface of the body are convex from the human body, increasing the surface area and collecting information.
We remember cities from our sense organs.
We ourselves, standing in the city, are like the sense organs of the city.
June 10th, 2023
「間」とは時間や空間のあいだ、すきまのことである。
『kuu』『MITSU』『space ⬜︎』 『space 「」』は、「間」が〔空〕であるか〔満〕であるかについて表現した、一連の作品である。
kuu
「色即是空 空即是色」という禅語から着想を得ている。
空間に溶け込むか、溶け込まないかの間の作品を制作した。
MITSU
kuuと着想を同じくする。
黒い画面を目の前にして、何か在るという人もいるし、何もない無いという人もいるだろう。
「在る」か「無い」かの答えを考えさせる作品である。
space ⬜︎
鉄の枠、枠の中、枠の外の三つの部分から成る。
作品を見て、枠の中の壁に画面が在ると感じる人も、何もない無いと感じる人もいるだろう。そして、枠の中を鏡のように考え、自己を認識することもあるだろう。
作品を通して「空」を意識させ、「間」から空間から鑑賞者、作品、制作者を浮かび上がらせる。
space「」
「間」を構成する〔時間〕と〔空間〕を表現することで、「間」の存在を明らかにしようとしている。
時間の連続と遮断、空間から浮かび上がるか溶け込むかの間を表現した。
“MA” is the gap time and space.
kuu, MITSU, space ⬜︎, and space「」 express “MA” is [full] or [0].
kuu
Form is emptiness, emptiness is form” by Zen terminology provided inspiration to this work.
There is “MA” in regard to it melts into the space or not.
MITSU
This idea came from same words as kuu.
When the viewers look this work, someone think there is something, someone think there is nothing.
This work leads “existance” and “none”.
Please wait for update.
Coming soon.